医療現場でも使われる消毒薬って?逆性石鹸はb型肝炎には使えるの?

病院などの医療現場においては、細菌やウイルスなどに対峙する場面も多く、その状況に応じて様々な消毒薬を使い分ける必要があります。もし誤って使用すると、効果が充分に出ないだけではなく、時に人体に悪影響を与える可能性もあるためです。

こちらでは、病院で使用されている消毒薬の種類や性質、さらに逆性石鹸がb型肝炎の消毒に使えるのかどうかについて解説します。家庭で消毒が必要な際も、是非参考にしてください。

医療現場でも用いられる消毒薬1~アルコール~

普通の家庭においても非常に馴染みのある、良く知られた消毒薬です。消毒用エタノールと呼ぶこともあります。手や指の消毒に使用します。B型肝炎ウイルス(HBV)に効果を発揮し、また一般的なウイルスに対してもある程度効果があります。

ちなみに薬局などでは、消毒用エタノールの他に、無水エタノールという商品を見かけることがあるかもしれません。どちらもエタノールですが、持っている性質や効果などは異なります。消毒用エタノールは、エタノール濃度が大体70%~80%になるように精製水で薄められています。

消毒用として効果が高いのはこの消毒用エタノールの方で、価格も安価です。一方の無水エタノールは、その名の通りエタノールが100%の製品です。ただしエタノールは水分を吸着しやすいので、開封して時間が経つとある程度空気中の水分を含むこととなり、厳密にエタノール100%ではなくなることには注意が必要です。

無水エタノールは、消毒用エタノールと比較すると消毒効果が低く、価格も若干高価になります。さらに無水エタノールは、消毒用よりもアルコール刺激が強くなるために、手袋などをはめず素手で直接使用していると、手がカサカサになってしまうことがあります。

それにしてもなぜ、無水エタノールよりも消毒用エタノールの方が消毒効果が高いのでしょうか。アルコール純度の高い無水の方が、なんとなく効果が高そうに感じられますよね。その理由は、アルコールが持っている揮発性という性質によります。

そもそも、エタノールを使用することでなぜ消毒ができるのかというと、エタノールには、細胞内部に入り込んで細胞膜の脂質を溶かし、タンパク質を変質させて機能を失わせ、細胞内部を脱水させるという働きがあるためです。

しかし、無水エタノールはあまりにもアルコール濃度が高いために、細胞内部にまで浸透しにくく、さらに、消毒効果をもたらす前にすぐに揮発してしまうのです。様々な濃度での消毒効果を実験したところ、消毒効果を最も高く得られるのは濃度が70%~80%という結果が出ており、市販の消毒用エタノールはその結果に則っています。

もし、すぐに消毒を行いたいという状況になった時に手元に無水エタノールだけしかない場合には、精製水などを加えて濃度が70%~80%になるように調整しましょう。水道水でも良いですが変質しやすくなりますので、その場合には使い切れる量だけを作ると良いでしょう。

医療現場でも用いられる消毒薬2~クレゾール~

以前は数多くの医療現場で使われ、家庭でも用いられることがありました。消毒効果は中程度あります。しかし、人体に付着したり体内に入ると、やけどや意識混濁を起こす危険性があります。現在は、医療現場においても基本的には用いず、結核菌や排泄物の処理などのごく限られた場合にのみ使用します。

医療現場でも用いられる消毒薬3~ポピドンヨード~

ヨウ素系の消毒薬です。うがい薬に用いられているものと言うと、イメージがしやすいのではないでしょうか。ウイルスや真菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)にも効果を発揮するため広く使われており、その際には7.5%~10%の濃度にします。

しかし、使用したものにはヨウ素独特の色がそのまま付着してしまい、さらに金属を腐食させるという性質もあるため、医療現場で使用する器具や病院内の床などに使うことはできません。

医療現場でも用いられる消毒薬4~次亜塩素酸ナトリウム~

プールの消毒や漂白剤などにも使用されている、塩素系の消毒薬です。皮膚への刺激が強いため、手洗いなどの場面で用いることはありません。また、金属を腐食させる性質も有しているため、医療器具を消毒することも通常はなく、床の清掃時などに使用します。

医療現場でも用いられる消毒薬5~グルタラール~

非常に強い消毒薬で、大抵の病原菌に効果があります。しかし人体に対する影響も強く、皮膚障害を起こしてしまうため、人体ではなく医療器具などの消毒に使います。芽胞にも効くのが大きな特徴です。芽胞というのは100度の熱でも耐えて生きることができる細胞の構造体の1つです。

ほとんどの消毒が効かないという非常に怖い病原菌で、代表的なものに破傷風菌があります。

医療現場でも用いられる消毒薬6~クロルヘキシジングルコン酸塩~

毒性の弱い消毒薬で、傷や医療器具の消毒など幅広く使われています。軟膏にも含まれているほどですので、安全性は非常に高いです。一方で、消毒薬としての効果はあまり高くはなく、ウイルスではなく細菌の殺菌を主な目的として使用します。

医療現場で主に用いられる消毒薬7~逆性石鹸~

塩化ベンザルコニウムという、日常生活で通常用いられている石鹸とは逆のイオンを有する石鹸です。そのため「逆性」石鹸と言われます。一般的な汚れ落としなどに用いる石鹸や洗剤は、水に溶けるとマイナスの電気を帯び、陰イオンとなります。

ところが、逆性石鹸は水に溶けるとプラスの電気を帯びて、陽イオンとなるのです。そのため普通の石鹸と併せて使用すると、中和されてしまい効果がなくなります。では逆性石鹸は、なぜ消毒薬としての効果を持つのでしょうか。

そこには、プラスとマイナスが引き合うという磁石と同じ仕組みが利用されています。逆性石鹸は陽イオンですので、マイナスのものを引き寄せることになります。

そして、逆性石鹸が殺菌できるとされる細菌などは、マイナスの電気を持つたんぱく質やセルロースから主に成っています。そのため、逆性石鹸は細菌を引き寄せて吸着し、細胞構造を変質・破壊してしまうのです。

これが逆性石鹸で殺菌できる仕組みです。このような逆性石鹸の性質を鑑みると、マイナスの電気を持たないものは殺菌できないということになります。インフルエンザやロタなどのウイルスは、細菌とは構造が全く異なりますので、逆性石鹸で殺菌することはできません。

さらに残念ながら、B型肝炎にも逆性石鹸は利きません。身近なところでB型肝炎に効果のある消毒薬としては、最初に述べた消毒用エタノールが最も手軽に手に入り、かつ人体や器具、床を含めた色々なものに使うことのできる消毒薬でしょう。

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